吉祥寺が第二の渋谷化へ
吉祥寺に関する多くの書籍を書かれている三浦展さん最新書「日本の地下が3分の1になる!」の中で吉祥寺に関する部分がありました。
それがタイトルの大衆化による「吉祥寺の第二の渋谷化」です。
三浦さんが渋谷で働いていた1980年の渋谷の大衆化の変遷が現在の吉祥寺と似ているとの指摘でした。
とにかく、この数年で大型の箱モノの商業ビルの再開発や新店出店が多くなりました。
百貨店の衰退と専門店の隆盛、金融機関の統合など流通業態と時代の変遷も大きく影響しています。
○コピス吉祥寺→旧伊勢丹吉祥寺店
○キラリナ吉祥寺→旧ターミナルエコー
○アトレ吉祥寺→旧ロンロン(かなり入居テナントが変わりました)
○ヤマダ電機→居住用マンション跡地
上記の大型商業施設がサンロードなどの商店街を取り囲んでいます。
テナントとして入っている小売店は吉祥寺だけでなく、新宿、渋谷や中央線でも立川にもある名前ばかりです。
飲食店もテナント料の高さとチェーン店の勃興もあり、大手のコロワイド、ワタミ、三光マーケティング、モンテローザ(本社が隣の三鷹)などの運営するお店の名前が見られます。
逆に商業施設の外側の中道通り、末広通り、五日市街道、井の頭通りに個性的なお店が見られるのがせめてもの救いです。
東京都市計画の遺産(ちくま新書)の中で、関東大震災~戦後の都市再開発にともなう都市計画道路について触れられていました。
その中で興味深かったのは、中央線の高円寺駅南口から青梅街道をつなぐ都市計画道路(高南通り)ができたのに対して、北口駅前から早稲田通りへの大型道路が諸般の理由で頓挫しているとの内容です。
吉祥寺の例を見ても分かるように、広い道路の前には大型商業施設ができる傾向があります。
高円寺は都内でも有数の密集市街地で、木造の低層の建物が軒を連ね若者向けのショップが多い事が特徴です。
その理由が都市計画が決定されていて、未完成の道路区域では法律により建物は木造、鉄骨造の2階建て制限されるとのこと。
そのため建て替えが少なく、家賃が安いことで商売が成り立つようなお店が多いとの内容でした。
そのことを考えると、皮肉なことに道幅の狭い現在の高円寺純情商店街、庚申通り、あずま通り商店街に個人店が多い理由が分かりました。
僕は高円寺の商店街の個性が失われないのは再開発が進まないからだと思っています。
しかし、この本の中では北口に都市計画道路ができれば、原宿表参道のように少し奥まったところに路面店が広がるのではとの指摘がありました。さあ、どうでしょうか。
時折訪れる高円寺駅周辺を歩いているとセピア色ですが1980年代の面影を思い起こすことができるのは気のせいでしょうか。
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