白耳義館(べるぎいかん)
吉祥寺ヨドバシカメラ裏にある、銀座か有楽町で見かけるようなレンガ色の建物があります。その名前は白耳義館(べるぎいかん)です。
「吉祥寺横丁の逆襲」(言視舎刊)によれば、旧「近鉄裏」は近鉄百貨店が進出する以前から飲食店が密集する地域でした。
増え続ける車の渋滞緩和と迂回のため吉祥寺大通ができてから、サンロード側と分断されてしまい結果的にピンクゾーンが出現します。
ピンクゾーンはその後1年の間に大幅に増加して、今も見かける客の呼び込みが道を塞ぐようになり、近鉄と吉祥寺大通により見え難い隠されたゾーンに変質していったとのこと。
その後に地元や行政側も排除すべく、吉祥寺中央図書館を五日市街道近くに建設して文教地区化することで拡大を阻止する計画が功を奏し、今では沈静化しているようです。
タイトルの白耳義館(べるぎいかん)は上記のピンクゾーンと一線を画したスナック、バー、小料理店が集まった社交飲食店ビルで、吉祥寺大通のローソンの脇から入り、すぐの右側にあります。
ビルの完成は昭和51年とのことですが、私の見た感じは老巧化しておらず現在でも立派な趣を感じさせられます。
テナント数は22店舗、地元の商業人や吉祥寺で良く遊ぶ人の間では有名なテナントビルです。また、社交飲食店で働く女性たちの間では憧れの場所でもあるようです。
私は残念ながら一度も行ったことがありません。
働く女性を見かける事が少ないのは、上記の分断事情のためだと思われます。
このビルのイメージは字の如く「ベルギーのギルドハウス」で、コンセプトは建物の前から全体が見渡せて、どんな店が入居しているかを俯瞰できるように設計されています。
初めてこの建物に入り、看板、ネオン、扉などを見ながら入る店を選択していく際に、扉を開けて入った時に場違いな感じがしたら退却して、自分にあった居場所を見つけていく「ひやかし」的要素がのんべえ達にとっては生きがいと著者の桑原氏は指摘しています。
実際に桑原氏はこの建物をプロデュースされたようです。
吉祥寺は地域によって、色々な顔を見せてくれることを実感させられます。